私の作品

Open App

【春風とともに】

春風とともに、私の大切なものは無くなった。
親は私ではなくて妹と過ごす事を決めて出て行った。
趣味や取り柄なんてない。何もない。
好きな事ももうやりたくない。
仕事はブラック企業。サボりたい。
彼氏なんて居ない。むしろ年齢=彼氏居ない歴だ。
あー、自分で言ってて悲しく…ないな。
感情もどうでもよくなってどっかに行ったもんな。
もう何も怖くない。もう何も悲しくない。
もう何も嬉しくない。もう何も楽しくない。
何をしても、何も感じない。
何をされても、何も感じない。
怖くないのに、怖い。
人の心もない。
私はただ仕事をこなすロボットの様なもの。
怖いけど、状況を改善する為に動いたりもしない。
もう全部どうでもいい。全部…
春も 親も 趣味も 仕事も 恋も 感情も 心も
         命さえも。
もういっそベランダから飛び降りてしまおうかな
そしたら仕事もしなくていいかな?
悲しむ人も居ないだろうし
私が居なくなっても地球は回り続ける
痛いかな でも逃げられるならどうでもいいや
でも私は地獄に行っちゃうかな 分からないや
そういえば、天国にはおばあちゃんがいるのかな
おばあちゃん…おばあちゃん……会いたいよ……
会いたい…いや、ダメだ。
私はまだ大切な物をひとつ持っている。
それは、おばあちゃんの遺した言葉だ。

【いい?⬛︎⬛︎、諦めたくなっても、
 この世から自分では逃げないでね。
 どうしようも無くても、楽な方に行かないで。
 悪い事が続いても、いい事も悪い事も代わる代わる
 来るから、いい事が来るさ。だから、
 逃げないで、いいね?】

【わかったよ!おばあちゃん!】

そうだ。私は約束したんだ。
このまま楽な方には行かない。
じゃないとおばあちゃんに怒られてしまう。
私もおばあちゃんみたいに天寿を全うして
立派な人間になるんだ!
待っててね、おばあちゃん、
あと40年くらいあるかもしれないけど…
必ずあの時した約束、守るよ!

「あらあら、大きくなったねえ。
 おばあちゃんは応援してるからね。」

え?今声が聞こえた気がする…
もしかしておばあちゃん、?
…ありがとう
もし違くても、おばあちゃんの声という事にする。
そうだ。きっとそうなんだ!よし、頑張るぞ!

【番外編】

あの世にて

「おや、久しぶりだねえ」

「おばあちゃあん!
 私、すごく頑張ったんだよ!
 見ててくれた!?」

「うん、見てたよ、よく頑張ったねえ」

「うっ、うっ、うわぁぁぁん、」

「大丈夫かい?」

「だ、大丈夫…ただ、懐かしくて…
 認められたのが嬉しくて…!」

私には大切な物がたくさん増えた。
ないなら作ればいい。(?)
流石になんでも作れる訳じゃ無いし
難しい事だけれどね。
私も長い時間をかけて取り戻せた。
今はとっても幸せ!

3/30/2025, 10:36:59 AM