クレハ

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オレの好きな人について。
かっこいい。
優しい。
頑固。
ちょっと迂闊。
ロマンチスト。

というわけで。

「何がというわけなんだよ」
「夜景が綺麗なレストラン教えて下さい」
「それをどうしてオレに訊く」
「色々知ってそうだから」

あと単純に、オレの好きな人と趣味が似ている。
この人が選んだ場所なら、あの人の好みにもヒットするだろう。
ちょっとムカつくけど。

「てかなんでレストラン限定なんだよ」
「……プロポーズってそういうとこでするもんじゃないの?」
「プロ……!?、そんなんどこでもいいだろ」
「でもちょっと特別感をさあ……」

あの人ロマンチストだし、こういう一生ものはいつもはしないこと頑張ってみたい。

「それと先輩この前家でぐーたらしてる時にプロポーズしてことわ」
「おうそれ以上言ったらオメーの似非天然エピソードあいつに暴露すんぞ」
「やめてくださいよーカワイイ後輩で通してんですからー」

あの人許容量超えると謎のフットワークの軽さで脱走しちゃうから少しずつ慣らそうと思ってたのに、こんなところで暴露されたんじゃたまらない。
ぷん、と頬を膨らませたら、先輩に膨れた頬を潰された。無念。

「何箇所か教えるけど、おまえそういうの似合わないな」
「似合わないからドキッとしてもらえるんじゃないですか」
「ドキッと以前に正気を疑われるぞ」
「えー……そんなー……ううん…………」

言われたら不安になってきた。

「ところでそれレストランが大事なの?夜景が大事なの?」
「……別にどっちも大事じゃないです」

先輩の顔にピキッとした筋が浮かんだ。
あわわ。

「じゃあ折衷案だ、夜景の綺麗な山頂行け」
「さんちょー?」

せっちゅーあんって何だろう。
まあいいか。

「聞いてくれてありがとうございましたー。成功報告楽しみに待っててくださいねー」

ブンブン手を振って、二人の空いている日を確認するためにスケジュールアプリを開く。

先輩があの人からもオレと同じような相談を受けていたとオレが知るのは、だいぶ後になってからだ。

お題「夜景」

9/19/2023, 7:51:20 AM