君はどんなときも、その、夏の晴れ晴れとした空のような、澄んだ瞳を私に向けてくれていた。
だが、私は見えない虚無というものを感じてしまって。
じっと見つめていたら、思わず惹き込まれそうな感覚に少し恐怖を覚えた。
しかし、またそれも美しく、儚くて。
彼女の目から、彼女のナニカが零れ落ちているかのように私には見えた。
彼女のナニカとは、、。
私にも分からない。
否、分かりたくもない。
人の中に入りすぎると危なくなるのは、自分だ。
秘密を一つや二つ持って生きているのが、人というものだろう。
,,と、考えていくうちに、ふと私は思った。
果たして、彼女の瞳は本当に澄んでいるのか。そう考えると、怖くなって思わず身震いした。人間の大半は結局、裏で黒く染った感情を隠し、誰にも悟られぬよう、ただ普通の人の面を被っているだけのような者ばかりなのでは,,と。
考えすぎだと、無理やり思考を一旦停止させて、自分もまた、笑顔を貼り付け、外へと歩き出した。
7/30/2023, 3:54:05 PM