狼星

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テーマ:泣かないで #18

「泣かないで」
そんな言葉を言われるのが怖い。
泣いたらだめ、我慢しなくちゃ。
そうしてできたのは、笑顔のお面。
「いっつも笑っているね、あなたは」
よく友達に言われる。
私はすぐに泣いてしまう。それを知らない友達はそれが笑顔というお面だということを知らない。
このお面を取ってしまえば、私は泣き出してしまうだろう。今まであったつらいこと、悲しいこと、腹が立つことを思い出して…。
「泣いてもいいんじゃない?」
そんな言葉を待っているなんて知らない。
みんな、そんな言葉を待っているのかもしれない。

「泣いてもいいんじゃない? 
泣いて、泣いて、泣き終わったあと、笑えばいいんじゃない? また頑張ろうって思えればいいんじゃない?」
私は親友にそう言われて、堪えていたものが全て出てしまったことがある。
涙が溢れて、言葉にならない声が口から出る。
そこで私は気がついた。私はいつも笑顔というお面をつけて影では自分の本当の姿を出せずにいたんだって。
初めてだった。自分の感情をこんなにも親友にぶつけたのは。
親友は嫌がらず、ただ頷いて
「頑張ったね」
そう言って背中をさすってくれる。

「泣かないで」じゃなくて、
「泣いてもいいんじゃない?」
苦しいと思っている人はきっとたくさんいる。
泣きたい人だっている。
でも泣けなくて、暗い部屋で一人。孤独に泣いているかもしれない。
そんな人に手を差し伸べられるような物語を私は作りたい。


※♡200ありがとうございます。
 これからも物語を楽しんでもらえると幸いです。

11/30/2022, 1:25:36 PM