「菜々香、夢とかある?」
そう聞かれてもいつもぱっと出てこなかった。病気に侵されて、自由のない生活。痛い検査だらけの日々。夢なんて探すのも諦めてた。
「菜々香はさ、なんか夢あんの?」
「ないよ。春樹は?」
「俺はさ…」
そう瞳を輝かせて話す幼なじみが眩しくて、見てると苦しくて、大嫌いで、だけど、大好きだった。
「菜々香、夢見る心って裏切らないから、だから、病気が治った先のこと、考えてみたら?」
毎日毎日、考えて、見つけた夢。
だけど、春樹がいなきゃだめなんだよ。ねぇ。
「春輝、ばか…」
4/16/2024, 11:18:43 AM