小説が好きな人

Open App

1年前、私は一個上の先輩に恋をしていた。
そして、夏祭りの日私は勇気を出して告白をした。
先輩は、嬉しそうにOKしてくれた。
夏祭りから、私達は順調に距離を縮めていった。
そこまでは、よかった。
ある休みの日、私はショッピングモールに買い物を
しに来ていた。
そこで、とある人物を見つけた。
先輩だった。だが、先輩は、一人ではなかった。
隣に女の子がいた。
私は悪いと思いながら、先輩達の後を追った。
「結くん…あの…噂できいたんだけど、一個下の優衣香ちゃんと付き合ってるの?」
私の話だ。
「ん?あぁ。あいつか。あいつとは、遊びで付き合ってるだけ。お前以外、本気で好きになるわけないだろ。」
「っ…急に好きとかいわないで…!」
これ以上、ここにはいられなかった。いたくなかった。
家に帰ってからすぐ自分の部屋にこもった。
「うっ…うっ…」
涙が止まらなかった。
遊びで付き合っていたなんて。
じゃあ、私は、ただ単にあなたの『おもちや』だったの?
思い出すだけで、涙が止まらない。
いつの間にか私は、泣き疲れて眠っていた。

休み明け、私は先輩を呼び出した。
「優衣香?なんだ用って?」
先輩は、いつもみたいに気さくに話しかけてくる。
いつもは、笑っていられるのに、今は笑えない。
私は、すぅ…と息を吸うと、先輩にこう言った。
「結先輩、私達別れましょう」
「え。どうして?」
「先輩、とぼけないでください。私、聞いたんです
ショッピングモールで。」
「…!…あれ、聞いてたの?」
そう聞き返してくる先輩。
「はい。」
私は、隠すことなく返事をした。すると…
「あーあ。聞かれてたんだ。もうちょっとだったのになー。」
先輩の口調が、変わった。
「あ、ゆっとくけど俺、お前のこと好きじゃなかったし。夏祭りの時告られて、しょーじき困ったわ。
でも、OKしてよかったわ。お前以外に単純だから使いやすかったわ。まー、別に別れたきゃ別れればいいよ。じゃ。」
先輩はそう言うと、空き教室から出て行った。
私は、膝からガクッと崩れ落ちた。
「…うっ…うっ…」
やっぱり涙がでてしまう。
これは、最初で最後の恋だったというのに、遊び半分だったなんて。
私は、その日から現実で、恋をしなくなった。

そんな私を支えてくれたのは、二次元だった。
私は、現実で恋が出来ない代わりに、画面越しに恋をしていた。
今日もまた、画面越しに恋をする。

6/16/2022, 1:35:53 PM