鏡の中に映る私は誰?
夏、おばあちゃんの家に行った。
近所の子と集まり、一番広いだろうと言うことからおばあちゃんの家を舞台に、かくれんぼをする事になった。
おばあちゃんは、
『家のもん荒らさないならいいよ』
と承諾してくれた。
鬼は、じゃんけんで負けた幼なじみの悠希だ。
私は特に仲の良い友達の華香と、二階に隠れることにした。
埃被ったドアノブをギシギシと音をたてながら、開ける。
二階には数回しか訪れたことがないので、この部屋の存在自体が曖昧なものだった。
ドアの先に紡がれた世界の中心には、大きな鏡。
あまりにも綺麗で、奇妙な空気に圧倒される。
無意識のうちに、
麗美な装飾が飾られた鏡の縁に、触れる。
すると、
────────憧憬が過る。
幼い私に、未来に行くにつれての侘しさを教えてくれたのは、誰?
そして、鏡に映る少女は、誰?
私じゃぁないよ。だってもう、此処は鏡の中の世界。
『誰か、助けて。』
11/3/2022, 11:01:24 AM