晴風

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「馬鹿ですか?」

 そう言われた。
 本来この言葉に多少イラつきと嫌悪感を抱くようなものだろうけど、子どもの頃から神童のように育てられてきたわたしにはこの言葉に少し嬉しくなってしまった。
 わたしは赤く染まってしまった頬を隠そうと少しうつむいてみせた。
「そんなこと言われたの、初めて」
「気を悪くさせちゃったかな?」
 まるでおちょくってるように言ったからわたしは喉まで出てきた笑いをこらえる。
 面白い子だ。わたしが誰なのかわかっていってるのかな。こんなにズカズカ他人のテリトリーを土足で上がってくる人は初めてだ。竹を割ったような、何事にも動じなさそうな強さを感じる。素敵な子だ。
「もしかして、泣いてる?」
 突然、彼女はわたしの顔をのぞきこんだ。
 
 この時、わたしの心の奥底で眠っていた、いたずらな悪魔が起きたようでわたしは普段なら絶対にしない言葉遣いと行動をした。

「そんなわけねーだろ!」
 
 わたしは言って、彼女の肩を思いっきり、力を込めて、たたいてやった。

 昔から憧れていたのだ。ツッコミを入れるという行動に。そう、将来の夢はお笑い芸人なのだ。




――力を込めて




❥なんか、いみのわからんものがたりすね。

10/7/2024, 2:22:20 PM