唯の虜

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【目が覚めるまでに】


きっと今私が起きたって隣には誰も居ない

でも、もし隣に君が居たら

私はきっと、こう言うだろう


「どうして私の元を去ってしまったの?」


特に深い意味なんてない

単純にそう思ったの


『君に恩返しをしたかったからだよ』


まったく意味が分からなかった  

私は何か君のとっていい働きをしたのだろうか

何も思い出せない




ところで今は何時何分だろう

もし15時を過ぎていたならお菓子を一緒に作りましょうね

今日は何が食べたい?

カヌレ?それともチーズケーキ?

早く2人で家に帰ろう

そしたらずっと2人でいようね




ねえ、もし私が君のことを忘れてしまうって分かってたなら君はどうした?
 
君と私の記憶が無くなってしまうの

なぜだか分からないけど、変な機械の中で私は眠らないといみたい

眠った後の私は何も覚えていない

ずっと前に君とした会話も変な機会のことも

その度に変な人たちから事情を聞かされる

最初は怖かったけど、久しぶりに君とお話をしたからもう何も怖くないの

そういえば君は少し老けていた気がしたの

シワが増えておじいちゃん見たいね



少しだけ覚えているものがある

それは君の匂いだけ

それだけは、なぜか鼻に住み着いてるみたいなの

あぁ、早く君に会いたいな

顔も名前も覚えていないのに君に会いたくなるの 

目が覚めるまでに君の全てを思い出してみるよ

それまでは私のそばにいて

どうせ君のことは見えないだろうけど思い出だけは何とか思い出すよ



それじゃあ、また200年後に私を起こしてね







 





8/3/2023, 1:03:25 PM