夢が醒める前に
「…――さ、―――…。」
近くで誰かの声がする。その声はどこか懐かしいような、不思議な感覚だ。
感じたことの無い柔らかさが身体を包み、いつまでも目を閉じていたいなんて思ってしまえる。
「――さ…。ねぇ、梓ってば。」
その言葉で飛び起きる。驚きに脈打つ心臓を抑える間もなく振り返る。
そこに座る女性は僕に微笑んだ後、堪えていたものをぷっと吹き出す。
「もう梓ったら、驚きすぎだよ〜。超実力派俳優さんは普段からいい反応するもんなのかな〜?」
僕をからかうようにいたずらっぽく笑う。その顔を僕は忘れたことはない。
「な、なん、で、おねぇ、ちゃんが…。」
「何よ、もう。感動の再会ってやつでしょう?」
3/20/2026, 3:09:32 PM