みみ

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中学生の頃、嘘つきの友達がいた。彼女は同じ部活で偶然だけど塾も一緒で、比較的仲が良かったほうだと思う。
 今となっては彼女の嘘がどんなものだったかは思い出せない。たぶん〇〇君と仲が良いとか付き合ってたとか、✕✕君が誰かのこと悪く言ってた良く言ってたとか、中学生らしい恋愛絡みの嘘だったと思う。
 きっと今ならさりげなくたしなめたり裏を取ったり、もっとずうずうしく立ち回れたろうが、あの頃はそれも誠実性に欠けるような気がして、彼女の嘘がエスカレートするのをただ見ていることしかできなかった。
 結局のところ彼女の嘘はあからさまになっていき、部活の中でその認識が共有され、距離を置くような扱いになった記憶がある。
 あの頃は彼女が何を考えているのか全く理解できず気持ちが悪かったが、大人になってみて思い返すと中学生らしい見栄や思い込みだろうと思う。大事になるような嘘をついたことはなかったが、中学生の私にだって見栄や思い込みはあったはずだ。大人になってから考えるとあの頃理解できなかったものと自分が同じように見えるというのはどこか気味が悪い。自分の子供の悩みに共感してあげるというのは、考えている以上に大人には難しいことなのかもしれない。

10/25/2022, 10:23:55 PM