クジラになりたいイルカ

Open App

愛を注いで___

2022/12/13 小説日記

母が痛いを思いをして産んでくれた私。ここまで育ててくれた両親。私に愛を注いでくれた。親が大事に大事にしてくれたこの顔がだいっきらい。

誰にでもコンプレックスはあるだろう。私は目だ。そりゃ、自分のすべてが嫌いだけれど特に目。細くて小さくて可愛げのない一重の目。まつ毛は長いのに直毛でまったく可愛く見えない。

雨の日は、生えているまつげが内側にくるっと癖になり目の中へ入ってくる。ビューラーでなんとかしようと朝やっても数分後にはすぐ元に戻っている。


私の親友は目が大きくてパッチリでおまけにまつ毛は私より長く、何よりくるっとまつ毛パーマをしたんじゃないかと疑うほど綺麗に上がっている。そして、二重。

だけど彼女はそれが嫌だと言う。でも、私はそれがいいと思う。無いものねだりだ。そんなのわかってる。分かってはいるけれど彼女が可愛いのは紛れもない事実。だから、中1の頃だって化粧をしているのかと毎日女子に聞かれていた。しかし、彼女はそれが嫌だったらしい。どんなに「可愛い」と言われても全てお世辞に聞こえると。

せめて自分の可愛さを自覚していれば私は心が少し軽くなるような気がしていた。

「私、高校行く前にまつパしようと思ってて」

「え?!まじ?」

「私ね、梅雨の時期とかになると生えたまつげが入ってくんの。直毛過ぎて。お風呂の時なんてずっと入りっぱw」

「高校ってまつパ禁止やで?」

「うん、でもそろそろきついんやよねw」

「クジラはそのままのほうが可愛いよ」

「いや、私人類最強にブスだわ」

「いや、マジで可愛いから」

学年の中で飛びきり可愛く、それを自覚していない彼女から言われてもなにも嬉しくなかった。

時々苦しくなる。彼女と私は月とスッポン。豚に真珠。もちろん私は、スッポで豚。彼女は月で真珠。

申し訳ないけれど彼女からどんな褒め言葉をもらっても全く嬉しくない。彼女も周りから言われるとき、そうなのだろうか。

12/13/2022, 11:36:59 AM