思い出の漫画

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目が覚めると水の中に居た。
息ができないって焦ったけど、まるで魚になったみたいに、びっくりするぐらい息ができた。
エラ呼吸…ではないみたい。
口と鼻から息ができる。其れにしても此処は凄く暗い……明かりが見えない……不安だ。
水槽でもないみたいだし…上に行けば分かるかな?僕は上まで泳いで行ってみた。
泳いでる途中で色んな人達に会った。

君は自分が誰かわかっているのかい?
お前の様な奴が選ばれる訳が無いんだ!
お気になさらず…お気を付けて…
……此処は何処だかわかっているの?

……わからない、わからないよ!
何で僕が目を覚ましたら水の中に居るのさ!
暗いし、寒い、淋しい…何か…上に行くに連れて酸素が無くなってきてる気がする…僕、本当に魚になっちゃったの?
足元って言っていいのかわかんないけど…足は見えるし…手も見えるんだけどな……というか泳がなくても沈まない…海、みたいな感覚ではある…水深はこの暗さだから…20m位…?
そもそも、上に進んでるのに下に下がってる感じがしてたんだよな。
「君は自分が誰かわかっているのかい?」
「お前の様な奴が選ばれる訳が無いんだ!」
どういう意味だろ?
あれ……急に、眠く…なってきたな…

ピーーーーーーーーー

研究員A「……すか……だいじょ…すか…大丈夫ですか?お疲れ様です、実験は成功しましたよ。いいデータが取れました。」
実験体37564番「…………ん、えと、何の実験でしたっけ…?」
研究員B「おい、研究結果書いとけよ。」
研究員A「はい、其れもそうですが質問に答えましょう。」
研究員B「あー、37564番、何の実験かと言ったか?……其の前に、記憶はあるか?」
実験体37564番「……海の中に居たような気がします。4人?位に話しかけられたような…」
研究員C「ふむ、興味深いですね。A、B、実験体18782番と18783番を呼んでおいで。」
研究員A、B「分かりました。」

研究員C「おっと、質問の回答をしてませんでしたね。この実験は対象者、つまり君だね、君の精神状態を具現化する実験だよ。私達からの精神の破壊も可能だけれど、君は特別だよ。」
実験体37564番「精神……?じゃあ、話しかけて来た人達…は?」
研究員C「君が苦手としている人物さ。君の場合、私とA、B、実験体18782番じゃあないかな?私達が投げ掛けた質問や言われた事だね」

─────8時間前─────
実験体18782番「クソが!何でお前なんだよ、俺の方が先に、先に得点が上だったのに、何で其奴なんだよ!!」
研究員C「仕方ない事だ、彼は100年に1度、いや1億年に1度かも知れない個体だ。」
実験体18783番「兄様………」
実験体18782番「そもそも、自分より上の番号の奴は兄だからそう呼べって言ってんのに呼ばねぇ奴も悪ぃだろ!!!」
実験体37564番「ごめん…なさい…」
実験体18782番「あ゛ぁ…ムカつくな!お前の様なクソ野郎が選ばれる訳ねぇんだよ!!」
研究員C「それぐらいにしておけ、18782番。君もいずれは行って貰う実験がある。」
実験体18782「チッ………」

────現在─────
研究員A、B「実験体18782と18783連れてきました。」
研究員C「ご苦労、呉々も喧嘩はダメだよ。」
実験体18782番「……………」
実験体18783番「……兄様?」
実験体37564番「…え…その」
実験体18782番「………ごめん」
実験体37564番「え、あ、うん。いいよ」
実験体18782番「お前は、俺を許せるのか?」
実験体37564番「許せる、君は優しいしね。」

研究員A「仲良さそうですね。」
研究員B「18782番、妙だな。彼奴から謝るって今まで無かったのにさ……」
研究員C「実験は成功…かな。」
研究員B「え、C何の実験したんだ?」
研究員C「人格を少々変える実験さ。」
研究員A「其れって、やるなって…」
研究員C「まぁ、落ち着き給えA。失敗していなければ私らは安全さ。」
研究員D「おい、お前らまさか、人格変える実験をしたんじゃないだろうな!其れはやるなとあれほど言っただろうが!失敗したら──」

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研究員は直ちに逃げてください。


────汚れた日記が落ちている。
7月25日
今日は実験体37564番の精神状態を具現化する実験をした。見事成功のようだ、本人は海のようだと言っていた。4人に話しかけられた、其れは私達が投げ掛けた質問や言われた事が関係しているようだ。とても良い、結果だ!
同時に実験体18782番に人格を少々変える実験をした。成功だと良いが。

7月26日
人格の実験は失敗だ、バレぬように実験体18783番にもやったが、何方も実験体37564番に味方をしてしまった。失敗すると、特定の人物以外敵対してしまう。私はもうダメだ。
この日記を読んだ人どうか無事で………
────日記は此処で終わっている……


「兄さん、この日記あの研究員のじゃない?燃やしちゃって良いよ。」
「わかった。俺はミナに従う。」
「僕も従うよ、ミナくん。」
ミナ「ありがとう、イ二にイミ。」

僕たちの番号から取った名前は気に入ってる。
37564…皆殺し、酷いね本当になったけど。
18782、18783…嫌な奴だって最低だな。


みんなは絶対にやるなって言われた事ことはやらないようにね。


其れ:それ 此処:ここ 何処:どこ
淋しい:さびしい 呉々も:くれぐれも
彼奴:あいつ 給え:たまえ

7/10/2024, 4:18:03 PM