ワニくん

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恋をした。

一生叶うことの無い恋をした。

貴方にはどうやっても会えない。

会えないし、貴方は画面から出てこれらない。

それでも私は、貴方を追い続けた。

イベントはどんなに遠くても全部の会場に駆けつけた。

生活費を削っても、貴方を集めた。

私が貴方にあげれるのはお金だけ。

本当は手紙だって送りたい。

チェキだって撮りたい。

でもそんなことは出来ない。

だから私は仕方なくお金と、ありったけの愛をを注ぎ続けた。

数年たった。

私はまだ貴方に恋をしている。

私を愛しているという人が現れた。

心から愛してる。

何度もそう言ってくれた。

でも私は断り続けた。

だって貴方に恋をしているから。

だけど、彼の愛を受け入れてしまった。

後に戻れなくなった。

彼と交際を始めて、結婚することまで決まってしまった。

でもやっぱり私は貴方を愛している。

心の底から罪悪感が押し寄せてきた。

私の横では彼が幸せそうに笑っていた。

そんな彼を見ると、少しだけ笑えたのが分かった。

私の笑顔を見て、彼は太陽のような笑顔を私に向けてくれた。

彼の笑顔はどこか見覚えがあった。

辛い時

悲しい時

苦しい時

いつもそばに居てくれた貴方の笑顔に似ていた。

貴方の笑顔が思い浮かんだ時、

彼となら幸せになれるかもしれない。

そう思った。

私は彼と生涯一緒に居続ける決意を決めた。

数年たった。

命を授かった。

私は彼との愛の結晶を受け入れた。

だって彼に恋したから。

子供が生まれた。

貴方のことを思い浮かべる暇なんかなくなった。

毎日が辛かった。

まるで太陽が無くなったかのようだった。

彼もあまり笑わなくなった。

口を開けば仕事、仕事

子供なんてどうでもいいらしい。

あと私のことも。

それから全てが崩れ始めた。

誰にも会いたくなくなった。

何もしたくなくなった。

1人でもいたくなくなった。

どうすればいいか分からなくなった。

死ぬのも、生きるのも嫌だ。

たくさん考えた。

解決策を探した。

まだそうできるだけマシだと思った。

彼と別れることにした。

離婚。

シングルマザーになることにした。

正直、そんな覚悟は出来ていなかった。

でも、この子を守るためにも、そうするしか無かった。

彼に私の意思を伝えた。

受け入れて貰えなかった。

どうやって食っていくつもりだ。

そう言われた。

お前の力なんかなくても生きていける。

そう言って子供を連れて家を出た。

行き場を無くした。

無計画な自分に驚いた。

とりあえず、小さい子供を連れて入れるネットカフェを探した。

そこで1泊して、泊めてくれる知り合いを探した。

1人の女性に連絡がついた。

貴方に恋をしていた時、知り合った人だった。

事情を説明すると、居候させてくれるとの事だった。

彼女の家に行った。

彼女は独り身だが、私の気持ちを全部、親身になって聞いてくれた。

言いたくなかったことも口からすらすらと出てきていた。

私は彼と貴方を重ねて今まで生活していた。

その事を思い出した。

だからだ。

生活が狂ったのも

彼と上手くいかなかったのも

私は彼じゃなくて貴方を見ていた。

彼と出会う前の記憶が数分前のことのように蘇ってきた。

今までの時間が無駄に感じた。

だけど、

この子だけは守り抜きたかった。

だって

笑顔が貴方に似ているから。

ただそれだけの事。

これで前に失敗したのに

それでも私はこの子を愛さずにはいられなかった。

だから一生をかけてこの子を守ることにした。

色褪せた私の想いに鮮やかな絵の具がのせられた。

貴方が希望をくれた。

私は

また貴方に恋をした。











3/9/2024, 1:25:47 PM