見ていたものは
酷くはっきりとしていて
網膜の裏に張り付くようで
痛々しいほどに
鮮やかで
どうしてもそれが欲しくて
手を伸ばして
追いつきたくて駆けて
やっと掴んだそれは
するりと
手の内から滑り落ちる
また手を伸ばす
駆ける
掴む
するり
欲しかったものは
いつも手に入らなくて
見えるものは
はっきりとしている
と思っていたけど
それもまた違くて
光と思っていたものは
ひとつじゃなくて
掴んだものに
実態はなくて
まるで蜃気楼
その光と私の間には
果てしない時間の隙間があって
隙間にぼんやりとした希望があって
痛々しい希望があって
それが邪魔して
伸ばそうが
駆けようが
全く関係なくて
いつになれば
追いつくのだろうか
10/19/2025, 8:21:55 AM