枯葉が季節の移ろいと共に宙を舞う。
彼と別れてもう何度目の冬だろうか。
いつまで経っても寂しさには慣れず、心にはぽっかりと穴が空いたまま。
ふとした瞬間に、彼との記憶が私の中を駆け巡り全身を暑くさせる。
18年前の今日。彼は震災により、この世を去った。
自然というものは恐ろしくて、瞬きをする間にも全てを崩し、飲み込んだ。
人はいつか星になることは分かっていたけれど、到底受け入れられない別れだった。
あまりにも急で、あまりにも残酷なあの時を私は死んでも忘れない。
随分と良くなった街並みを眺めながら、アスファルトを踏みしめる。
地面にうっすらと乗っている枯葉を踏みしめ、その音と感触を覚えるように神経を張り巡らせる。
そういえば、枯葉は木を守るためにあると聞いたことがある。冬を越すために、木が枯れてしまわないように。
彼は、枯葉のように思えた。
呆気なく散った。
けれど、冬を越せるようにと、どうにか踏ん張れるようにと、沢山の思い出を残してくれた。
確かに彼は存在した。
確かに私の心を温めた。
愛した人の分まで、ちゃんと___ 。
「枯葉」
2/19/2024, 11:49:47 AM