激しく降り注ぎ
何事も無かったように
去って行った
通り雨の中
ずぶ濡れの二人が
一つの傘の中
少しの間
立ち話しただけ
そう
ほんの束の間
肩寄せあって
冷たい雨から
身を守っただけ
そんな恋だった
優しい時間に
心地良さを感じながら
互いに
本当を口にはせず
探りあって二人
少しづつ近づきながらも
ブレーキから足を
外さなかった
ふと脳裏に甦る
切ない痛みの記憶
あれは
いつの事だったろう
また雨が来て
土砂降りになる前に
先に傘から
飛び出したのは私
雨の冷たさに
芯まで冷えて
心まで凍えて
動けなくなる事
知っているから
「通り雨」
9/28/2023, 9:51:38 AM