「待って!」
私はコロコロと転がっていくおにぎりを追いかけていく。
なんで止まらないのよ……
おにぎりの勢いは増すばかりだ。
「痛っ」
私は勢いよく地面に尻餅をついた。
ふぅ、やっと捕まえた。
私は少し、いや結構汚れたおにぎりを手に持ち、辺りを見回す。
「ここは……どこなのよ……」
高層ビルや電車などはなく、あるのは畑や、森などの自然ばかりだ。
私が住んでいた東京とは全く違う。
「大丈夫ですか?」
いきなり声をかけられる。
かなりのイケメンだ。
程よい筋肉、すらっとした鼻、透き通った瞳……
「どこか痛いんですか?」
「大丈夫ですっ!」
私は我に帰り答える。
「おにぎりを追いかけていたら、ここに来てしまって……」
「……何年頃から来られましたか?」
妙な質問をされる。
「2025年から…です」
彼は「やっぱり」といい、私に説明し始めた。
「あなたは過去の時代に来てしまったんです。この場所には次元の狭間があり、頻繁にこういうことが起きてしまうのですよ。……あと、戻ることはできません」
「!!!!!!!」
そ、そんな……
まぁ、そういうこともあるよね。たぶん。
私は無理やりこの状況を受け入れた。
■■■
3年後---
私は、この地域にもすっかり慣れた。
そして、あの時会った彼と結婚をしたのだった。
5/19/2025, 10:04:12 AM