遠い日の記憶人は記憶を改竄して生きる。苦しみを薄めたり、悲しみを忘れたり、幸せを切り取ったり。肯定の為に故意に上書きをした記憶にはいつまでも薄紙で切った傷の様なひりついた痛みがつきまとう。「嘘なんだけどさ。」あの頃を思い出すと、そんな記憶のどれもに心がかき乱される。 勢い余って、瘡蓋を剥がすように嘘をめくる。大丈夫、いとおしい二人がいた。全身で好きだっただけ。一時また離れられなくなる。
7/17/2024, 11:00:08 AM