トッポ

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時を告げる

空しく鳴き声を上げる鳥のようにも思えた時計台は、午後11時47分を針で指したまま動くことは無かった。一時の間を覆いきった、空に広がる黒漆に抗うように、街灯が照らされていた。ただ、それだけだった。

まるで世界が私の事を見て息をすることも忘れてしまったのか、私の心に地中深くナイフを突き込まれるその見えない悲劇を、止めてくれたように思えた。このまま、夜が明けることが無いようにと、祈っていた。悲しみこそあれど、今は私に、きっと来てくれるという期待も与えてくれる。

「ほんとにごめん、遅れた!」

いつの間にか聞こえていた足音と共に、彼は来ていた。大きな包みを持って。私の時を動かしたのは、いつも貴方だったね。

9/7/2024, 12:09:35 AM