狼星

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テーマ:いつまでも降り止まない、雨 #193

『毎日雨、雨、雨。つまらん季節だな』
憂鬱そうにベランダに目を向け呟くのは、
僕のベットの上で何故か膝を抱え座っているあやかし。
「君、人間といていいの?」
僕はそう言って彼の隣に座る。
『あやかしというのは人間と違って自由だ。
 ワイが何をしていようが
 誰かにとやかく言われる筋合いはない』
フンと鼻を鳴らす。
いや、僕が困っているんだけどなぁ。
そう心のなかで思うとジロリと目を向けられる。
僕はびくっとして自然に背筋が伸びる。
『人間はいつまでも降り止まない、
 雨に退屈だと思わんのか』
「退屈だとは思わないよ。
 だって、こんなに音が溢れている」
『音?』
僕は黙って目を閉じる。
窓に雨が叩きつけられる音がする。
裏山の方からはカエルの鳴き声がかすかに聞こえる。
退屈なんか感じないさ。
僕が目を開けるとあやかしは僕をじっと見つめていた。何も言わずただまっすぐに見つめられる。
『気に入った』
ただそれだけを言うと、
フッとそのあやかしは消えてしまった。

5/25/2023, 12:34:41 PM