僕は山田先生が好きだ。髪は肩くらいまで伸びていて、まるで向日葵のような優しい香りがする。挨拶をすると太陽のような笑顔で返してくれる。聞きたいことが沢山あるのに、実際に会うと頭の中は真っ白になって、心の中は熱くなる。そうしていつも挨拶で終わってしまうのだ。今日こそ話したい、そう思いながら学校へ続く畦道を歩く。春風が頬を撫でて気持ちがいい。
校門を潜り教室へ向かう。廊下、山田先生が前方から接近、僕は勇気を振り絞った。「山田先生、おはようございます」できるだけ声音は明るく、笑顔で。すると先生は「おはようございます、川口くん」と。笑顔は美しく、声は硝子の様。自分の心臓の音が激しくなる。いつもはここで脳が蕩けて形が保てなくなり溶けるのだが「山田先生!先生の好きなタイプはなんですか!」咄嗟に出た言葉は思ったより下心が滲み出ていた。山田先生の次の言葉を待つ沈黙は挨拶の時間の1億倍長く感じた。「んーー、タイプは____」廊下を走っている男子の「知覚過敏が痛えっ!!!」の声に先生の声はかき消されてしまった。あずきバー食ってんじゃねえよ。知覚過敏野郎。覚えとけよ。「すみません聞こえませんでした」先生はもうーと溜息をつき「だから、タイプは___だって」先生が声を出した瞬間ちょうど隣の教室から爆発音が聞こえた。科学部が実験をしているらしい。科学部に朝練なんてあるのか!?爆発させてんじゃねえよ。爆発野郎。覚えとけよ。「すみません、もういっ」キーンコーンカーンコーンと、呼び鈴がなった。「ごめん、次授業あるから」そう言い、山田先生は僕の前から姿を消した。先生のタイプはガードが硬かった。明日こそ!いつか僕の想いが届きますように。
4/16/2026, 7:06:38 AM