白に塗れた青春

Open App

昔、こんなお話を読んだことがあるよ。
男の子が迷子になるお話だ。どこかノスタルジーな雰囲気で溢れていたんだ。その話を読んだ時、私はまだ9歳、そう小学生だったのだけれど。どこか切なさを覚えたものだったな。
男の子は暗い町の中、電灯のあかりを追いながら迷った末に家に辿り着く。家の中では父が新聞を読み、母は「こんな時間までどこに行ってたの!」と叱りつける。ありふれた幸福のひと家庭。
そして男の子は卓上で冷めきった肉じゃがを食べて涙を流す。え?どうして流したかって?
男の子うぅん、男性は夢を見ていた事を自覚したからだよ。
《大人になった彼が望んだ夢》を未来の技術で叶えた。
SF小説っていうのかな、こういうジャンルを。
「何度も再現しようとしたおふくろの味がそこにはあった。」
彼がそう呟いた所で物語は終わるんだ。
めでたしめでたし…って形容詞が正しいのか私にはよく分からないのだけれど。
あはは、まぁそれだけの話だよ。うん、ちょっと思い出しただけの話なんだ。ところで、ねぇ、この世界ってキミの夢?

8/3/2023, 12:02:19 PM