ぬるま

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前方に眩い光があります
とてつもなく眩く輝いています

私は道に迷っていて
ここがどこかも分からずに
途方に暮れて前方の光をぼうっと見ていました

ふと気づけば私の他にも人はいて
彼らも光を見つめていて
私たちはその光の元へ歩きました

子供は無邪気に光の元へ駆けていきます
眩い光が痛みになることを知らずに
気にもせずまっさらに駆けていきます

大人は光を見て唸ります
目に激しい痛みを感じるのでしょう
それでも険しい顔つきで光を見ています

そこに肉体の歳はありません
光を見ることに痛みを感じ 歩みが緩めば
それはもう大人なのです

まっさらに駆けていった子供達はすぐに飽きて
「楽しくない」「つまんない」と笑って
横切った猫の後ろに着いて行きました

大人は様々です

光を呆然と見ている者がいました
光から顔を逸らす者がいました

背を向ける者がいました
歩み始める者がいました…

…歩きはじめる者の歩みは少しづつです
子供達の無邪気な走りに比べれば
本当に少しづつ
歩く大人は歩きました

彼らはやがて
光に辿り着いたのか消えていきます
いえ、あまりに眩い光の元にいるので見えなくなったのです

私は光に消えゆく後ろ姿を見つめているだけでした
残った幾人もその後ろ姿を見つめているだけでした

たとえ光に焦がれた背中が消えたとしても

ここに突っ立って
あの眩い光を見つめているだけでした



2024 1/24(水) 6『逆光』

1/24/2024, 11:54:38 AM