赤い糸。
それは世間一般で言えば運命の人と繋がっている糸だろう。
しかし実際は違う。
実際の赤い糸は、まぁさしずめ『死神の糸』。
赤い糸が巻き付いている部分が主に致命傷となって死ぬ。
そして、赤い糸が短ければ短いほど死期が遠い。
逆に長ければ長いほど死期が近い。
何故そんなことが分かるのかって?
そんなの、『視える』からに決まってるでしょ?
いつから視えてたかは覚えてないけど。
視えないのに確証もないこと言わないよ。
あぁそうだ、そろそろ本題に入ろう。
『それ』さ、君の全身に巻かれてるんだよね。
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いきなり呼び出されたと思えば、こんな訳のわからないことを言い出す男を睨む。
私が死ぬ?赤い糸?寝言は寝て言え。
わざわざ学校の外の倉庫裏まで来たというのに、せっかくの昼休みが台無しだ。
これならまだくだらない世間話のほうが価値がある。
私は深くため息を付き、
「あのね、私も暇じゃないの。こんな話するために呼び出したわけ?」
こう言えば諦めてくれると思ったのだが、意外にも真剣な顔でこちらを見ながら、
「本当なんだ。」
と言った。
もしかしたらとも思ったが、嘘だと思ったので「はいはい」と適当に返事をし、
その場を後にしようとした。
「待って」
しつこいなぁと思いつつも、仕方が無いので立ち止まり振り返った。
「何?」
「信じてもらえないのは分かるよ。だって、今までもそうだったから。」
「…今まで?」
「うん。皆、自分が死ぬなんて信じたくないから、僕の話に耳を傾けてくれないんだ。」
「…」
「でも、僕も自分の考えてる事の押し付けはしない。」
「…分かった。」
「ホント⁉」
男は分かりやすく顔を明るくした。
「で?いつ死ぬの?」
「ん~僕もあまり分からないんだけど…」
「大体でいうと?」
「うーん…あ。」
「え?」
「今。」
金網の外から大型トラックが突っ込んできたところで、私の意識は潰えた。
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「ねぇねぇ、あれ知ってる?」
「あれ?」
「えっ、知らないの⁉」
「うん。」
「なんか学校の近くの道路から大型トラックが突っ込んで、女の子がひとり死んだらしいよ」
「あー、なんか話題になってたのってそれか…」
「それでね、その子と一緒にいた男の子が、」
「なぜか無傷だったんだって。」
あとがき
今回のテーマは「赤い糸」でした。
普通にすると面白くないかなと思って、謎の物語ができましたw
途中から飽きて手を抜いたのですが、ここまで見てくれた方は天使の様なお心の持ち主です。
ありがとうございました。
6/30/2023, 1:04:25 PM