甘露

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今年は秋が無かった。


店頭に並ぶ「限定 金木犀の香り」の文字は、まるで白々しく踊っていた。
うだる猛暑から、気温差の激しい幾日を経て足早に、呼んでもいない木枯らしが唐突に窓を叩き出した。
小春日和がそっと覗いてくれる日が、こんなにも嬉しく感じた事は少ない。
こっそりと買った金木犀の香りのハンドクリームを楽しみながら、今日は思い切り洗濯物を片付けようと思う。





蜜柑には飲み物 何を合わせるか 咳込む僕と北風と窓

芳烈な落ち葉 モザイク 万華鏡 歩く斜陽の幸せのさま


題「冬の始まり」

11/30/2023, 1:58:55 AM