鼻につく悪臭
耳に響く小バエの羽音
玄関を埋めるゴミの山
カビの生えた浴室
虫の湧く台所
皺だらけの布団
空き缶の乗ったテーブル
伏せられた家族写真
捨てられたアルバム
混ざる性の象徴
錆び付いた包丁
血が染みた畳
溶け出る体温
欲しかった愛情
消せない全てを過去に流す
染み付いた悪臭を隠す草花
住処を追われた小バエの羽音は消えた
掃除された玄関
住人を欲す意図が汲み取れる看板
もう此処には誰も居ない
父親も自分も
『辛くない?』
「いえ、懐かしいなァって感じただけです」
『そっか』
瞳に映る産まれ育った我が家というものが
あまりにも記憶と違うから
過去が全て他人事のように遠くて
何処か寂しかった
題名:懐かしく思うこと
作者:M氏
出演:🎗(☀️)
【あとがき】
自分を変えたキッカケはどんなに年齢を重ねても消えません
でもそこに“懐かしさ”を覚えられたら
自分は少しだけでも大人になれたんじゃないかと
判断しても良いんじゃないかなと
思ったりしてます
思ってるだけです
10/30/2023, 12:53:24 PM