テーマ:やわらかな光 #337
やわらかな光につつまれていく。
こんなわたしでもてんごくにいけますか?
わたしはわるいこなの。
パパとママにおこられてばっかり。
パパとママがわたしをたたくのは
わたしがわるいこだから。
パパとママがなくのは
わたしがわるいこだから。
パパとママがごはんをくれないのは
わたしがいらないこだから。
パパとママがけんかするのは
わたしのせい。
だからわたしははやくてんごくにいきたかった。
てんごくってしあわせなばしょなんだって。
パパとママもてんごくにいったら
しあわせになれるかな。
ニコニコしてわたしにいいこだねって
あたまをなでてくれるかな。
なんだかあったかい。
そしてやさしい。
これがてんごく?
『◯月☓日午前△時。
◯◯◯ちゃん、5歳が自宅で死亡しているのが
発見されました。両親は行方不明。
◯◯◯ちゃんの体には複数の痣があり、虐待の疑いが
あります――』
「また今日も子供が亡くなった」
「そうね」
私は肩を下ろした。
テレビに映る画面の向こうで小さな子供が亡くなった。
そんな悲しいニュースが多数報道される。
「親は子供を守る責任を持って
子供を生んでほしいものね」
隣でそうポツリと言ったのは人間じゃない私の同居人。
「今日は彼女の場所へ行く?」
「あぁ。上手く成仏していなさそうだからな」
子供は特に現世と隠世の狭間を行き来しやすい。
それを導き成仏させるのが私たちの仕事。
「さぁ。今日も行くわよ」
私は今日も働きに出る。
少しでも現世と隠世の狭間を
彷徨う者たちを減らすために。
10/16/2023, 1:07:54 PM