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 えぇ、えぇ、その通りにございます。私は諦めたのでございます。生来持って生まれた気性と気質が世間と噛み合わず、これまた生来持って生まれた顔が悪印象をさらに生んでしまうようで、私は大勢の人と関係を持つということをすっかり諦めたのですよ。
 もちろん子供の頃は努力しましたよ。笑顔は絶やさず、親切に。しかしこれが新たな苦悩として脳に刻まれました。いや笑顔は高評価だったのですが、その親切を便利と受け取った方々がいらしたもので、かと言う私もすぐには気づけず、あぁ……ハラショー……、今思えばこの時点で私はどうしようもないキチガイと成り果てる運命だったのでしょう。そのまま便利として使われて、しかし5年生にもなって反発すると……、彼らからしてみれば突然ハサミが自分に向かって突進してきたような心地でしたので、散々痛い目に遭いました。いえ冷たい目でしょうか。さて私もほとほとすり減ったもので親や教師にも助けを求めたものですがけんもほろろと捨てられてしまいました。自慢の笑顔もうまくできなくなりました。ハラショー………。あぁぁぁ……。
 そんなわけで私は何がどうなのか、道徳や正義とはなにかまるきりわからなくなってしまったので、とにかく引きこもってそれを探ろうと思ったのです。哲学……心理学………。ショーペンハウアーやアドラー、ユング………。とにかくそれらに触れているうちに、何ともわからぬ光のようなものが見えてきて私は暗い暗い穴の中から、ようやく穴の縁にまで抜け出すことができたというわけです。
 さて次に私が私のためにできることとは何だろうと考えた結果、それは道化となることでしたがもはや17程度の同級生たちは世間体のため笑うことはないだろうと思うと袋小路に戻ってきてしまいまして……。はて……はて……。と頭の真ん中に置いているとやはりまず第一印象をどうにかしようとまた最初に立ち返ることとなりました。一度子供の頃の笑顔を再現していたのですが、周りの反応を鑑みるにどこか違うらしく(私はやり方を変えていないのですが)、私の計略は失敗に終わりました。それならメイクかと思い立ったのですが、メイクというのも元の骨格が大切らしく、これもまたダメだなと辞めました。では骨格から変えようと今はバイトに励んでいるのですが、父や母は止めようとしてくるのです。訳を聞いたところ、そんなことをしなくても十分可愛いと。可愛い?ではなぜ私を見捨てたのでしょう。私にはわかりません。当時の父や母のことも。優しさを謳っていた先生のことも分かりません。私を追い詰めておきながら、子供の頃あなたの方が好きだったと宣う友人たちのこともわかりません。私にはわからないことばかりです。しかしどんな状況であれ、私は私のために選択しなければなりません。今はとりあえず整形を目指して働いています。ダメならば他のやり方で目指します。ただ、人と関わる。この一点においては疲れ果てました。私は諦めたのです。私はなにも得られず、今は自分のために生きています。悲しい気持ちばかりですが、辛いことは起きていません。それが身の丈にあった幸せというものなのでしょう。……あぁぁ、

11/8/2023, 1:52:15 PM