『ただいま、夏。』
「おかえり!」
玄関を開けると、3人が笑って迎えてくれた。
A男、B男、C男
みんな、あの頃のままだ。
「うわ、髪型変わった?」
「成長したなー笑」
「久しぶりに4人そろったね」
――なんて、懐かしすぎる夏の会話。
部屋にあったサイダーも、冷蔵庫のスイカバーも、
あの夏と同じ位置にあって、
僕は「ただいま」ってつぶやいた。
笑って、しゃべって、ふざけて。
まるで時間が巻き戻ったみたいな一日だった。
その夜。
海の見える丘で花火。
浴衣姿の3人と、いつもの道。
何もかも、あのときと一緒だった。
「これ、去年の残りなんだ」
A男が出した線香花火。
「よく取っといたな」
って言ったら、彼は笑ってこう返した。
「だって、ずっと“待ってた”もん」
違和感。ほんの一瞬。
でもすぐに笑ってごまかされて、またいつものバカ話に戻った。
最後、4人で写真を撮った。
線香花火の火が落ちる瞬間のやつ。
きっと一生の思い出になる。
はずだった。
翌朝、スマホを開くと、通知が来ていた。
「◯◯町の海岸にて、昨年行方不明だった高校生の身元が判明しました。」
名前は、僕だった。
画面をスクロールすると、
昨日撮ったはずの写真が1枚だけ残っていた。
線香花火が落ちかけてる。
その中に写っていたのは、3人だけだった。
8/4/2025, 5:44:34 PM