懐かしく思うこと
あの日々に関して懐かしいという感慨が起こることはない。
懐かしいというのは記憶している出来事に対して感じる感情だ。私のは記憶ではなくただの記録だ。
いじめられていた。
それはただいじめられている自分を傍観していた私の記録。
離人症という症状らしいが、それは別にどうでもいい。
私は言われるがままに顔色を伺い、呼ばれればトイレにも校舎裏にも馳せ参じ、頭を下げていた。
どうしてそんな人たちの言うことを聞かなければならないのか、今もそのときも分かっていない。
それでも私は思考を停止して、精神を削ることをやめて頭を下げた。
どちらかといえば懐かしいのはいじめではなく、離人症の感覚だ。
ふわふわした心地で、自分を俯瞰して見下ろすのは癒されるような不思議な感覚だった。
私の精神はとっくに壊れていて、それでも学校には行かなければ母親や父親に叱られる。
いのちの電話に電話したこともあったが、あの相談員はやめたほうがいい。
どうすればいいのか聞く私に「それで何に困ってるの?」と言うような人は。
理不尽と戦う日々も、理不尽から逃れてふわふわしている日々も、記憶が曖昧なせいで懐かしさもない。
ああ、またふわふわしたいなぁ。
疲れてきたよ。
10/30/2023, 10:30:41 AM