大足ゆま子

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AM4時の海は、まだ太陽にあぶられていないからか ひんやりとしていた。
 左足もスニーカーを脱いで水中に浸すと、濡れた砂の奥へと爪先が沈んでいく。
 小さな波が押し寄せて、私を小突いてすぐに逃げていった。
 スカートの裾を浸しながら、海を踏みつけるようにしてゆっくりと歩き出す。
 水面を蹴るたび、冷え冷えとした海水が足下に絡んでくるが、熱に浮かされた体にはそれが心地よかった。
波が再び足首にまとわりついて、私にせがみつく。
私は振り払うようにしてて、歩幅を広げた。
 水平線の手前に、一艘の船が見える。
 あなたの船かしら、なんて思いながら私は進んでいく。
 待ってて、もうすぐ行くから。



 #待ってて

2/14/2023, 3:07:05 AM