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窓越しに見えるのは_。


大きな鯨だ。

青く白く、色を持たない鯨は、

今日も空を優雅に泳ぐ。


まさにその姿は、

圧倒的な神と呼ぶべき存在。


雲が霧のように散り、

雨が噴水のように跳ね上がった。





今も尚、

新しい命が誕生している。


新しい命を持つ彼等にとって

この空は、

当たり前であり日常であるのだろう。


それが初めて見た世界だから。



当たり前も日常も個々によって違うと

誰もが知ることであろうに

全て同じように語るのは、何故だろう。



世界のトップたちの争いが

最近、絶えない。


それを堂々とテレビに流すものだから

醜さがより際立つ。



何をしても解決しないことに

気がついてもいい頃合だが

誰も気がついていないようで。






大きな鯨は、やがて、

優雅な泳ぎを止め、雨を降らす。


止まらぬ雨が地球を染めきった時、

この世界は消えるだろう。






たった一枚の薄い窓ガラスが

大きな世界を区切っている。


まるで違う世界がそこには映っているよう。


けれど、紛れもなく、

自分が生きる世界がそこにはある。



不思議なものだ。


今か、明日か、来月、来年、

一年後、十年後、百年後、

いつか分からない終わりに怯える人々が

馬鹿馬鹿しくてならない。


終わりなんてもの

いつ訪れても仕方ないであろうに。





世界は、広く小さく醜い。





世界の終わりを今か今かと夢見る

窓際の子どもの話。

7/1/2021, 10:23:13 PM