「あーなあたーとわーたーしー」
少女は歌を歌う。それは楽しそうに。それは元気よく。
「おおきなくりのーきのしたでー」
歌い終えた少女はその元気いっぱいな笑顔が消えた。
「……あのね、くりの木さん。あたしね、
…………誰に話しかけても、こたえてくれないの」
「あなたも、あたしにこたえてくれない。わらってくれない。おへんじしてくれない。
わかってるの。あたしはもうこの世界にいない。」
「でもせめて、あなたといるときだけは、
聞こえて欲しかった声があるのにね。」
"彼女"は声を押し殺して泣いていた。
_2023.11.7「あなたとわたし」
11/7/2023, 2:25:49 PM