彼らはある日突然やって来た。
浮遊する巨大な飛行物体から出てきた彼らは、ひょろ長い四肢と硬そうな肌を持っていて、頭部と思われる半透明の球体状の部分を忙しなく左右に動かして、眼下で呆然とする私達を観察しているようだった。
侵略は四日後から始まった。
交渉は決裂したらしい、とシェルターで出会った老人が教えてくれた。
彼らは凄まじい轟音を上げながら、閃光のような炎で私達の体を貫き、家を焼いた。
攻撃は僅か二日で終わった。
この星はたった一週間で、新たな支配者の手に落ちた。
※ ※ ※ ※ ※
30××年、環境破壊や海面上昇により資源と土地が枯渇し、地球滅亡の危機に見舞われた人類は、新たな故郷を求めて宇宙へ飛び出した。
長年の研究と探索によって、次の移住地の目星はついていた。
ニュー・アースと名付けられたその星は、これまで発見された中で最も地球と気候や環境が似ており、また知的生命体の存在も確認されていて、地球人ほどではないがある程度の文明が構築されていることが判明していた。
十年間で何度か交信を試みたが、返答を待つ前に地球の寿命が来てしまった。
人々は不安と希望と共に、故郷を離れて新天地を目指した。
宇宙船は、ゆっくりと新しい家へ近づいていく。
#もう一つの物語
10/29/2022, 10:27:18 PM