「たとえ間違いだったとしても」
僕は今でも君を愛している。
君と出逢ったのは、もう10年も前のことになる。
当時僕は、しがない中小企業のサラリーマンで。
あの日も取引先から会社に戻る為に、あの駅に向かっていたんだ。
あの日、もしも雨が降っていなければ。
あの時、あの駅のあの出口が工事中ではなかったら。
そんなたらればばかりの僕を、君はいつも訝しげな目で見ていたっけ。
君と最後に会ったこの公園で。
君と最後に座ったこのベンチで。
僕は一人、腰を掛けている。
君は今、何を思っているのだろう。
今、このベンチで君とまた話せたなら。
君があの日みたいに、ずぶ濡れの僕にハンカチを差し出してくれたなら。
君が僕を受け入れてくれていたなら。
やはり僕はたらればばかりで。
もう、前に進まないとだよね。
僕は深く息を吐いて立ち上がった。
ずぶ濡れのグローブと君をベンチに残して。
4/22/2026, 1:52:02 PM