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「夢のサーキット」

男性は、子供の頃はミニ四駆が大好きでした。

学校の休みの日に、玩具店のレーシングコーナーで、

友達と一緒に、自慢のミニ四駆を走らせるのが

楽しみでした。


男性は、成人になってからは

真面目に働き、昇進は出来なくても

収入は安定していて、

運良く結婚も出来ました。


最近は、妻との会話も少なくなり、

男性は、何だか物足りない毎日を送っていました。


ある日、男性は数十年ぶりに

子供の頃に通っていた玩具店の前を通りかかりました。

そこには、かつてのミニ四駆仲間が集まって、

ミニ四駆を走らせていました。

男性は、仲間達の元へ立ち寄り、

久しぶりにミニ四駆を走らせて遊ぶ理由を聞きました。

仲間達は、

「雑誌の特集を見て、懐かしくなって、

 気付いたらこの店に来ていた」

と、言いました。

男性は、時間が経つのも忘れて、仲間達と遊びました。


家に帰ると、妻はスマホに夢中で、

夫の事なんかそっちのけだったので、

そのまま夕食を食べて、風呂に入って、

就寝しました。


男性は、再び玩具店に行くと、

仲間達に混ざって、子供の頃によく遊んでいた

女性がレースを応援していました。

男性は、女性と再会して、

お互いの人生話に花を咲かせました。

男性は、寂しい気持ちなんかどっかに消えてしまい、

女性と時間の許す限り会話を楽しみました。


ある日、妻から離婚話を切り出されました。

男性に愛情が無くなったと言う理由でした。

男性は、その時は涙しましたが、

離婚を受け入れました。

養育費や慰謝料とかの金銭問題は発生しませんでした。


男性は、女性の元へ訪れ、

女性が独身なので、

再婚話を持ちかけました。

女性は、すんなり受け入れました。

男性は嬉しさのあまり、涙が溢れて止まりませんでした。

6/13/2022, 12:08:35 PM