蛍 歩樽

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胸が高鳴る│蛍 歩樽

胸が高鳴るというのが私にはイマイチピンと来なかった。
胸が高く鳴るなんて言われても分からない。
分かりたくもない。それはただの動悸では無いのだろうか。
隣に居る麗奈は言った。
「胸が高鳴るって経験ないでしょ?」
「ない。でもなんでわかった、」
「じゃあ私が高鳴らしてあげる。」
麗奈は私の言葉を遮るように口付けを落とした。
それでも私は胸が高鳴るなんて分からなかった。
でも嬉しかった。
私は都合のいい存在だとしか思われていないと思っていたから。
最後に母親に伝えられた記憶もこれだけしか残っていない。
「あんたはロボットなんだから、手伝いだけしてくれればいいのよ。」
ショックだったのだろうか、私はこれ以外に母親の記憶がない。

3/20/2026, 9:29:55 AM