『寒さが身に染みて』
高1の冬
帰り道、恋人に振られた。
"今までありがとう"と感謝を伝え、
握手を交わして、最後は笑って"さよなら"をした。
元恋人に背を向け、駅に向かって歩き出したその時、
しんしんと雪が降った。
傘を持っていなかった私に容赦なく降り積もった。
髪に触れた雪が溶けて滴ってる事にも気づかないくらい
私は泣いていた。
大好きだった。
もっと一緒にいたかった。
さよならなんて言いたくなかった。
泣きじゃくる私の体は熱く、鼓動が速かった。
地面は、私の心を写すかのように一面真っ白となり、
足跡だけが取り残されていく。
駅に着いた頃には涙も枯れていた。
そして私は、改札を通る音と共に
彼との思い出も置いてきた。
もう振り返らない...
そんなほろ苦い寒い日の思い出
1/11/2023, 12:09:12 PM