【七夕】
スーパーで見つけた大きな笹に色とりどりの短冊。
「将来〇〇になりたい」とかそういうのばかり。
小さい頃はこんな楽しかったな。
大人になってやらなくなったけど。
…でもいまもし願うなら何を書くんだろうか。
「なにしてんの?」
ふと後ろから聞き覚えのある声がした。振り向くと、私の大好きな人。
「七夕?なんか願い書いたの?」
「まだだけど、」
そんな会話をしながら、彼は短冊へと手を伸ばす。
「なんかこういうのドキドキするよな。一緒に書こうぜ。何色がいい?」
私は赤色の短冊を手にした。迷った末、
『大好きな人に想いが届きますように』と書いた。
そして彼に見られないように、そっと笹の葉に吊るした。
「できた。…ってもう書いたの?俺も飾ろうかな」
彼が青い短冊を吊るした。そして満足そうに笑った。
「よしっ。…なんて書いたの?」
「言わないよ。なんか言わないほうが叶いそうじゃない?」
「そういうもんなの?まあいいけど。…俺の願いごと気になる?」
彼は飾った短冊を掴み、見せるようにこちらへ願いごとを向けた。
『いま隣にいる君と来年も再来年も隣にいられますように』
「この願いごと、叶えてくれませんか?」
「…私でいいの?」
「うん。君じゃなきゃイヤだ。」
「…私で良ければ喜んで。」
私の願いごとが叶った瞬間だった。
年に1度だけじゃなく、これからずっと側にいられますように。
7/7/2023, 2:49:57 PM