汚水 藻野

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さっきまで雨が降っていたのに、もう快晴。
コンビニからお菓子を買って出た私は、「せっかく傘を持ってきたのに」と一人杞憂した。
「おねーちゃん。…何でボクに傘持って来ようとしてくれたのさ?」
ボク"は"なくてもいいじゃん?と続ける弟が、可笑しいと破顔う。
「ボクは生きて
「生きてるよ。」
「……………………え」
本当に死んでしまう前に、弟の言葉を遮る。
「私の目の前にいるじゃん。
私やお母さんの心にいるじゃん。
未練…あるんじゃん?」
「……未練はないよ。
ボクは死ぬまでおねーちゃんとお母さんとお父さんと一緒で、楽しかったよ。

お父さんはほぼ記憶にないけど…」

「じゃあなんで私の前から消えないのよ。
もう晴れてるのに」
そう、弟はいつも雨の日に現れ、晴れればいつのまにかいなくなる。

「………なんでだろ。
ごめん…ボクにも分かんないや」
「まだ消えないでね」
消えるところを見たくなくて、自分の足元のほうへ俯く。
「消えるときはちゃんと言うし」
「ほんとうに?」
弟の方を振り返ると、
「………言ってよ」

そこには何もいなかった。

#2024.7.2.「日差し」
雨と姉と弟と。
hrak六期見てます。おもろい。

7/2/2024, 1:53:15 PM