星が大好きでした。星が大嫌いでした。今じゃどうでもいいもの。昔はキラキラして憧れて、眩しくて嫉妬していました。私の大好きな親友、美香はいつでも私の一番星で、寄り添ってくれる子。可愛くて、優しくて、完璧で、私とは大違い。周りの子もみんなキラキラしていて。まるで星空のようだった。私はきっと星々の周りのくらいくらい闇なんだとおもう。
「菜々子ちゃんどうしたの?」
美香が話しかけてくる。違うの、この子は美香じゃない。美香はもう居ない。この子は美香じゃない何かなの、だからどこかへ行って。
「酷いなぁ、私泣いちゃうよ?」
ああ、ああ、その顔でなにか喋らないで
「あなたが作ったくせに」
望んでない。いらないの、いらないの
「-」
ようやく声が聞こえなくなる。周りのざわめきが聞こえる。心底安心して息をついてしまう。
美香1年前に事故で死んでいるの。だからいない。
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朝の重たい体を起こして洗面所に向かい、支度をしようとしたところで今日が休日だと気づく。外を見るとまだ空にうっすらと星が見える。
「星、菜々子ちゃんはすき?私は大好き」
後ろからそんな声が聞こえた。振り返るとそこには幼い頃の私と美香がいる。面倒だからそのまま通り過ぎようとして、
「忘れないで」
そんな声が聞こえた。
「忘れらんないよ…」
つい、そう答えてしまう。忘れたい、普通に過ごしたい。こんなことで悩み続けたくない。親友だったのに、酷いとは私も思う。でも、そう思ってしまう。
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ーピロン
美香の兄から連絡が来た。
「渡したいものがあるんだ。家に来てくれるか?」
彼から連絡が来たのはあの日ぶりだ。渡したい物が何故か無性に気になっていくことにした。
…
彼が私に渡したものは美香の手紙だった。渡されて読むしかなく、仕方なく読むことにした。
ー菜々子ちゃんへ
お誕生日おめでとう!もしかしたら私が渡し忘れていて誕生日じゃないかもしれないけど、もしそうだったら許してね。
菜々子ちゃんは私が好きな星って覚えてる?もし覚えていなかったら菜々子ちゃんの指つねっちゃうからね!このまえ、かなり痛いっていってたでしょ。
最近、星が羨ましいって思うようになったの。小さい頃から色んな人に褒められてきて、甘やかされて生きて、だから私どこかで歪んじゃったんだと思う。いつもどこか真っ暗で、周りはキラキラしていて、私はくらいくらい闇なんだなあって
でも菜々子ちゃんは、そんな私を照らしてくれた私の一番星なの、だから、羨ましい。きっと菜々子ちゃんは私の明けの明星なんだと思う。ちょっとおしゃれすぎかな?でも本当にそうだから。
大好きだよ!菜々子ちゃん!
ーあなたの大親友、美香より
読んで、びっくりした。美香の一番星は、私。私の一番星は、美香。ふと空を見上げると、空はもう星空を映していて、
視線の先には光り輝く金星がこちらを見ていた。
星1つ1つが私たちの思い出で、明けの明星…金星が私たちで…
心が、軽くなった気がした
7/5/2023, 10:44:00 AM