【クロ】
いつものように
目覚める朝
カップに淹れた
お気に入りのコーヒー
一口飲みほして
今日もまた
飽きもせず創造する
世界のビジョン
面影すら見えない
アスファルト化した
駄菓子屋も
綺麗に塗装された街並みも
もうあの頃とは違う場所
見栄えが良くなった
壊れた街の中心で紡ぐ
ねぇクロ
ベンチに座る君も
アイスを食べて笑いあった
たまり場も今はもう
夢のように思えるの
変わっていく
街を横目に
足早に歩いている
人に時に空に
急かされて
自分を見失うくらい
悲しい世界で
まるで夜の街灯から
逃れられない虫達みたいに
デカい月をただ見ていた
全てを捨てられたなら
あの月のようになれるかな
ねぇクロ
アイスを頬張る僕の隣で
ずっと見ていてよ
君の居ない街は
終わりのない偽物みたいで
もう一度その頭を撫でたいよ
紡いだ細い思い出だけが
虚しく浮遊して
ビルの影に隠れて泣く
君がくれた温もりも
いつか忘れてしまうのかな
どうか時代が変わっても
繋いでいくよ
まだ優しかった日の思い出を
8/5/2025, 8:36:49 AM