爪出さぬ作家。

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雲行きが怪しいのは分かってた。もうすぐ雨が降りそうなのもあの曇天の空が教えてくれていた。
だけど少しだけほんの少しだけもしかしたら晴れるかもって期待していた。
根拠の無い天気予報のお姉さん達は傘を持たずに走ったもん勝ちだと言う。
お姉さん達のその勢いに負けて走った。
走ってしまった。


走ってからは大丈夫だって気持ちと後悔の念が交互にやってきて足元を詰まらせる。
ただ、降るのか降らないのかはっきりさせたかった。

PM8時。
一瞬、雲の色が薄れ光が差し込もうとした。
その時私は気づいた。

私は晴れることを望んでいなかった。


しかし雨は突然降った。
光が差し込もうとしていたあの雲の隙間はあっという間に塞がれて、雲の色は暗く濃くなっていた。
スマートフォンには2件の通知。




「嬉しいありがとう。」
「でもごめん、友達でいたい。」


_降り止まない雨

5/25/2024, 5:07:08 PM