ぺんぎん

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春の嵐のひとときに、小さな空き教室にはにはぬるりとした湿った匂いが溢れかえる、ざあざあと雨たちが窓を叩きつけるのがわかる、いかづちがこれでもかというほどに白く真っ直ぐにはしり、ごろごろと腹の底をまさぐるような音がまっさらの雲のあいだから降ってくる、人と人とがあちらこちらへ駆け回り、つるりと少し濡れたホールの床には笛とかトランペットとかの音がいっぱいに落っこちている、ひとつになったオーケストラを記憶の中できれいなままで思い出せるよう拾いあげて家に帰ろう

4/20/2023, 6:50:17 AM