狼星

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テーマ:良いお年を #49

※この物語は#20からの続編です

「待ってよ〜!! ホウキを使って飛ぶなんてずるい〜」
「しょうがないなぁ〜。 ほら、乗せてあげる」
「わ~い」
そんな会話が飛び交う国にやっとなった。
「今日は王子様がこの国の王に、ミデル様が王女になるのよ」
「ミデル様!! 私大好き!!」
僕は隣りにいるローブを深く被った人を見る。その人も僕の方に顔を向けていた。
「今日はこの国中のお祭り」
そう話すのは小さい子供とその母親だ。
「早く始まらないかな〜。お祭り」
子供が言った。僕はその人の手を握ると少し驚いたような顔でこちらを見た。彼女の深く被ったローブから黄緑色の瞳が除く。
「急ごうか、ミデル」
僕がそう言うとふふふっと笑って頷くミデル。
「会場はもうすぐよ。『ラクラ』」
「その呼び方をするのは久しぶりだね」
僕がそう言うと微笑んでいるミデルは止まり、空中に星を書く。
「"移動魔法"。目的地は、『王宮へ』」
すごいスピードで景色が変わっていく。人々にぶつかるかと思いきや貫通していく。この数年でミデルの魔法も進化を遂げたのだ。

セピアの事件後、僕たちは『魔法使いも普通の人間も互いに助け合える国』を作れるようにいろんな政策を取った。苦労も失敗もたくさんした。
その結果、理想と近しいものを作り出すことができている。もっと課題はある。
でもその前に僕たちは、国王・女王へと認められる年になった。僕は20になった。
この3年。たった3年、されど3年だった。
今日は戴冠式。父上、母上の待つ会場へ。
その前にどうしても来たかったのは、ミデルと出会ったこの市場。みんなが笑い会える市場になった、この市場に来たかった。戴冠式が終わったら、ミデルとこれからの話をしていこうと思う。
スピーチでは国民の人たちに今日という日を迎えられた感謝を。
そして、いつか僕らの間に子供ができたら僕たちのことを話そうと思う。
『光と闇。
 そして魔法使いも普通の人間も互いに助け合える国』の話を。
                   __end

※みなさんこんばんわ。狼星です。
 『光と闇の狭間』から始まり今日まで続いてきたこの
 リレー小説楽しんでいただけたでしょうか。
 今年ももうすぐ終わりますね。
 このアプリで皆さんの時間を少しいただき、私狼星の
 物語を沢山の人に読んでもらえるていると考えると
 ドキドキしてしまいますが。これからも狼星を。
 狼星の物語をよろしくお願いいたします。
 
 それではみなさん、
      『良いお年』を。

12/31/2022, 2:41:47 PM