【夜の海(声なき声)】
彼女がそこに来たかった理由はある。
彼女にはわかっていた。
でも、決して言わなかった。
言わないと固く決めていた。
言葉にしたら・・・
心から出してしまったら・・・
嘘に聞こえそうな気がする。
いや
そうではないかもしれない。
自分でも、偽りなのではないかと
不安になりそうだったのだ。
心が言葉と共に彼女の中から出て行き
なくなってしまうような・・・
そんな気になる。
暗闇の中で
波の音だけがやけに大きく聞こえてきて
よりいっそう彼女の寂寞を煽る。
空を見上げた。
その日は・・・
星がとても綺麗だった。
明日はきっと晴れるだろう!
彼女は微笑んだが・・・
目から・・・
涙もこぼれていた。
#エッセイ#短編小説
8/15/2021, 10:59:13 PM