心の奥底には箱があって、私のいらないものは大抵そこに入っている。
たまにその箱の中から汚ねぇゴミどもを引きずり出しては自分を苦しめるのだ。
これは病んでるとかそういうことじゃない。
ただの趣味だ。
こう書くと非常に変態チックだが、これがまた面白い。
今からまたやるつもりだから、見学していきなよ。
まずぱかりと蓋を開ける。
お風呂とか、寝る前のベッドの中とか、そういうなんにも考えない場所が好ましい。
騒々しい場所だと蓋が開けにくいんだ。
私はアイデンティティなんてものがなくて、親不孝者で、
怠惰で、気持ちの悪い劣等人間だ。
これは紛れもない事実。
箱の上の部分に入っていていつも一番最初に出てくる。
よくある自己認識のまとめみたいなやつだ。
こんなのはわかりきっているので横に置いといてもう1個引っ張りだす。
誰も私を愛さない。愛される資格なんてない。
人を愛すことも出来ない。生きてる価値がない。
これもよく出てくるやつ。常連さんみたいなもの。
こうやってひとつひとつ取り出していくんだ。
それからじっくりと出てきたものを鑑定する。
そうするとすごく苦しくなれるんだ。
大人になるって難しい。年相応になれない。
こどもっぽくて馬鹿な人間。
これは最近の掘り出し物。
成人して大人としての責任を説かれる度にこいつは箱の底から浮上してくるからタイミングが合えば見つけやすい。
まあいわゆるレア個体だ。
年不相応な人間は叩かれる。SNSではなおさら。
フリルたっぷりの服を着れば、「フリルさん」なんてあだ名をつけられてくすくす笑われる。
好きなものを隠して生きていくのも処世術の一種か。
こうやって自分の脆いところを徹底的に痛めつけて、いかに自分が社会にとっての害悪か見せつけてやる。
そうすると自然と自分が欲している何かを見つけることがあるのだ。
失くしたと思っていたジグソーパズルのピースが本と本の間から出てくるみたいに。
まじでなんであんなところに挟まってたんだ?
とにかく、必要なものがわかったらそれを回収する。
まだ痛めつけたりないと思ったら続けていいし、飽きたらもっかい出したものを詰め直す。
私は大概1個見つけたらそこで飽きてやめる。
ちゃんと後片付けもするんだぞ。
詰め直したゴミどもをぽんぽんと軽く叩いてやってぱたりと蓋を閉める。
これでおしまい。
見つけたものはちゃんと目立つところに飾っておく。
誰かがそれを与えてくれるかもしれないから。
"心の片隅で"
12/19/2025, 5:10:53 AM