風に身をまかせ
気付けば足を止めていた。
目の前で、立入禁止の柵の中に、雀が一羽舞い降りた。
雀はせわしなく地面をつつき、くるくると周囲を見渡したあとに私を見る。
その時に思ったのだ。
――いいね、自由で。
目が合ったと思ったのは私の気の所為なのかもしれない。
それでも私は確かに、たったひとつの柵の向こう側に行けない自分を不自由だと思った。
強い風が吹き抜け、それと同時に雀が飛び立つ。
強いビル風は、細い路地の向こう側に木の葉を運ぶ。
路地の向こうが明るく見える。
私は無意識にそちらの方向へと足を踏み出した。
5/14/2023, 11:31:33 AM