杏野 天音

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私は仕事や会社の方針として、1人で部屋に篭っていることが多い。
最初は出勤の辛さから解放されると喜んでいた。
何しろ片道2時間とかかかるので。

慣れてきて要領がよくなってきたら、仕事の隙間時間を効果的に活用できるようになってきた。
幸いなことにやるべきことをやっていれば、細かいことはチェックされないからだ。

日々の業務や生活に慣れてきたところで、なにかが決定的に欠けているような気がしてきた。
気がつけば外に出ることも少なくなり、丸1日部屋に篭もりっきりなことも珍しくなくなった。

そういえば最後に会議以外で人と話したのっていつだっけ?
私は思い出せなかった。
TVをつけたけど、いつもと代わり映えのしない映像が流れてきて、つまらないので消した。
部屋は静寂に包まれた…

私は叫ばずにはいられなかった。
でも何を叫んだらいいの?
私は言葉にならない声を叫びはじめた。

ピンポーン

「最近連絡が無いからどうしてるかと思ってきてみたよ。元気?」
私はふと我に返った。玄関には親友の花音が立っていた。
私は彼女が実在していることを確かめるように抱き合って泣きじゃくってしまった。

-静寂に包まれた部屋-fin

9/30/2024, 6:49:56 AM